奥多摩旅行記 第2回(全18回)
第2章
旅の当日になってもやっぱり風邪のままで、体調に不安がある旅立ちだった。
まずは所沢駅へ出るために自宅近くからバスに乗る。自宅のある辺りと所沢駅の間を行き来するバスは、清瀬駅から来る系統と東所沢駅から来る系統がある。もうすぐ清瀬駅からのバスが来るけれど、その前に東所沢駅のさらに先、志木駅南口からのバスが来た。この路線は本数が少なく、このバス停から乗ると座れるのは奇跡に近い。やって来た志木駅からのバスは空いていた。奇跡が起きた。
乗ったバスはイライラするぐらいのノロノロ運転だったが、それでも10分足らずで所沢駅に着いてしまった。少し早く着いたので、プロントに入って一休み。自宅より居心地のいいこの店は、近く予定されている所沢駅東口の再開発のために3月末の閉店が予定されていた。ところが、どういうわけか営業が5月末まで伸びた。それを聞いた時は本当に嬉しくて、アルバイトの店員さんより嬉しそうだと言われてしまった。
一休みを終えたら、店を出て今度は近くのファミリーマートでタバコと缶チューハイを買って、向かいのテラス席で一服と〝清めの酒〟を飲む。30歳を過ぎて昔ほど酒を飲まなくなったけれど、それでも旅の時は朝から飲んでしまう。これでも一応、風邪をひいているのだけれど。
一服と〝清めの酒〟が済んだら、いよいよ出発。所沢駅東口は再開発が予定されているとはさっき言ったけれど、すでに20年ほど前にはガキの頃の面影がなくなっている。昔はもっと質素な駅だった。さらに、2012年からは新しい駅舎になり、30年近く使っている所沢駅は、どこか別の駅のようになってしまった。
列車に乗る前にIC乗車券に3000円をチャージして、改札口を通る。Mさんとは拝島駅前にあるコンビニの前で待ち合わせと。まずは拝島駅へ向かう。滅多に乗る機会のない西武拝島線に乗るには、東村山駅へ行って西武国分寺線に乗り換え、隣の小川駅まで行けばいい。予定していた列車よりも1本前の列車に乗ることになってしまったけれど、拝島駅やその周辺で写真を撮って時間を潰していればいいだろう。
これから乗る西武新宿行きの急行列車が来る乗り場は、池袋線の上り列車の来る乗り場と同じプラットホームにある。平日のラッシュ時となれば、まるで航空母艦を連想させるほどの大混雑となる。今もどちらの乗り場にももうすぐ列車が来るとあって、平日の朝ほどではないけれど混雑していた。そんな中でやって来た西武新宿行きの急行列車に乗り、隣の東村山駅へ向かう。
西武新宿行きの急行列車は、ほんの数分で東村山駅に着いた。この駅は、目下、高架化工事に向けて工事中。東村山市が志村けんさんの出身地であることから、新宿線乗り場の発車メロディは、『東村山音頭』が使われている。ここで西武国分寺線に乗り換える。国分寺線は昼夜を問わず6両編成で運転されている。時間帯によっては混み合うけれど、今はそれほどでもなかった。
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