奥多摩旅行記　第1回（全18回）

1.プロローグ

　2016年2月の終わりに、学生時代の先輩であるMさんと東京・奥多摩へ行くことになった。

　Mさんと会うのは昨年6月以来。奥多摩へ行くのは、さて、いつ以来だろうか？祖父が他界した5年前か6年前に一人で行った記憶はあるけれど、それ以降の記憶が定かではない。僕にとっても、Mさんにとっても、久しぶりの奥多摩となる。

　二年先輩のMさんとの付き合いは十年以上になる。アルバイトがきっかけで知り合ったと記憶している。とにかく気が合い、彼が大学を卒業した後もよく遊んでいた。Mさんが仕事の都合で名古屋へ行ってからも、少なくとも年に1回は会っている。片や大学を首席で卒業し、片や大学を中退したという〝デコボココンビ〟だ。

　ある日、メールのやり取りで、2月に会おうということになった。当初は埼玉の秩父や長瀞へ行く予定だったが、長瀞のロウバイも見頃を終えてしまっただろうから、奥多摩へ行こうということになった。

　昨年六月にMさんと会って以来、久しぶりに同行者のいる旅となる。一人旅の方が気楽でいいし、一人で景色を眺めながらぼんやりと考えたいこともあるけれど、約束してしまったものは仕方がない。久々の再会を楽しむことにしよう。

　旅の目前、3年ぶりにまともな風邪をひいてしまった。風邪をひくと、どうもそれが長居してしまう。花粉症やインフルエンザではなかっただけ、よかったとするべきか？